オートファジー

オートファゴソームの形成に関わる複合体にはまずATG5-ATG12-ATG16Lがある。ATG5とATG12の結合には、E1酵素であるATG10とE2酵素であるATG7が関わっている。この複合体は完成したオートファゴソームからは解離している。ATG12はLC3に対して働くE2酵素であるATG3とも結合でき、その結合はマイトファジーの制御に関わっている。カルパイン1/2により遊離ATG5が切断され生じるフラグメントはBcl-xLと相互作用してアポトーシスを促進させる。ASPP2はATG16と競合してATG5-ATG12と結合し、オートファジーを抑制する(Wang et al., 2012 #329)。

ATG13、FIP200、およびAtg1ホモログであるULK1もしくはULK2を含むULK複合体もオートファゴソームの形成に必要で、これは膜上で他のATGタンパクの集合を制御する。mTORC1によるULK1/2、およびATG13のリン酸化はULK複合体の機能を抑制する。AktはmTORC1を介す他、直接Beclin-1をリン酸化する事でもオートファジーを抑制する。AktによるBeclin-1のリン酸化はBeclin-1と14-3-3、ビメンチンとの複合体形成を促進し、その事がオートファジーの抑制につながるものと考えられている(Wang et al., 2012 #506)。

PI3Kの一種であるVps34とBeclin-1(Atg6)、ATG14L、Vps15(p150)が形成する複合体もオートファジーに必要である。Vps34はアミノ酸によるmTORC1の活性化にも関わっている。PI3Pに対する強い結合能を有するDFCP1とAlfyもオートファジーの制御に関わっている。DFCP1は小胞体膜からのオートファゴソームの形成に必要である。AlfyはATG5や、ユビキチン化された凝集体に結合するp62/SQSTM1と相互作用する。PI3Pを脱リン酸化するMTMR3やJumpy(MTMR14)はオートファジーを抑制する。Beclin-1はBcl-2やBcl-xLと結合でき、DAPKによるBeclin-1のリン酸化あるいはJNK1によるBcl-2/Bcl-xLのリン酸化はこれを阻害しオートファジーを促進させる。

オートファゴソームの形成に関わる酵母Atg8の哺乳類ホモログは数種類存在し、大きくはLC3とGABARAPに分類される。これらは四種のATG4による切断を受けてPEに結合できるようになる。ATG4はATG8-PEを脱PE化し、ATG8をリサイクルする役割も有する。ROSはATG4を酸化し脱PE化を抑制し、オートファジーを促進させる事が報告されている。CRにより増加したROSはPI3Kに部分的に依存してオートファジーを増加させる(Scherz-Shouval et al., 2007)。PKAやPKCによるLC3の機能の抑制も報告されている。

オートファゴソームはダイニンによりMTOC近傍のリソソームに運ばれて行く。リソソームとの融合には、SNAREで、リソソーム膜上にあるVAMP8と、オートファゴソーム膜上にあるVti1Bが関与していると考えられている。



その他の参考文献
Rubinsztein et al., 2011 #328


  • 最終更新:2013-02-13 14:16:11

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