腎臓

腎臓は表層の皮質と内側の髄質に分けられ、髄質はヒトでは多数の円錐状の構造の集まりとなっており、それらを腎錐体(あるいは皮質と併せて腎葉)という。ラットやマウスでは腎錐体は一つである。髄質の外側と内側で尿細管上皮野種類が異なっており、それにより外帯、内帯、内層の三層に分けられる。髄質の表層近くには血液濾過の場である腎小体(マルピギー小体 : 糸球体とそれを覆うボウマン嚢よりなる)があり、また間質には他の毛細血管を構成する細胞以外に、繊維芽細胞、マクロファージ、間質細胞が存在している。ボウマン嚢からは内側に向かって尿細管が走り、一往復半して集合管に合流して腎臓から出て行く。腎臓は全血液量の約20%を受け、1~2ml/分の尿が糸球体から濾過されて生じるが、その99%は尿細管で再吸収される。ボウマン嚢と毛細血管の接する部分では基底膜が毛細血管を覆っており、それに接するボウマン嚢側の細胞は足細胞と呼ばれる。基底板に覆われる部分の間質はメザンギウムと呼ばれる結合組織で、そこにはメザンギウム細胞が存在する。メザンギウム細胞は基底板を貪食する事ができる。基底板は、IV型コラーゲンよりなる緻密板と、その両側の、ラミニン、フィブロネクチン、ヘパラン硫酸にトム透明板の三層よりなっている。尿細管が糸球体から内側に向かって伸び、一往復して表層に戻ったところの遠位尿細管の、糸球体近くの細動脈に近接した緻密斑の細胞は、糸球体濾液のナトリウム濃度が低いと細動脈に接した傍糸球体細胞に働きかけ、レニンの分泌を引き起こさせ、結果的にナトリウムの再吸収を促進させる。

加齢に伴う腎臓の機能の変化としては、まずGFR(glomerular filtration rate : 1分間に糸球体が血液を濾過する量)は低下する事が報告されている。塩の再吸収にも変化が認められる。特に変化に対応する為の調節機能が低下している。尿中のアルブミン量が増加していく事も報告されている。構造的には、腎臓の重量低下(特に皮質部分)、糸球体の減少および硬化、メザンギウムの増加、腎小体の基底板の肥厚、尿細管上皮細胞の萎縮、間質の繊維化などが報告されている。

アンギオテンシンはROSやTGFβ1の産生を促す事ができるが、ラットでアンギオテンシン変換酵素を阻害すると加齢に伴う糸球体の硬化、尿細管の萎縮や間質の繊維化が抑制される。CRによってもこれらの変化が抑制される。アンギオテンシンの他、酸化ストレスやAGEsも腎臓の老化においてTGFβシグナリングの活性化に寄与している事が考えられる。TGFβシグナリングの活性化は腎臓の繊維化を促進させている事が考えられる。

ヒトの腎臓では、皮質と髄質で発現パターンが大きく異なっているにも関わらず、老化に伴う遺伝子発現パターンの変化はどちらも非常に類似している。その変化パターンのおよそ半分は血球成分の増加を反映したものと考えられ、残りの変化については、発現が増加する遺伝子の中に細胞外マトリックスの制御に関わるものが多く含まれるという特徴が認められている(Rodwell et al., 2004 #543)。

腎臓では老化に伴いINK4Aやp21の発現が増加し、テロメアの短縮も認められる。老化に伴う腎臓でのINK4Aの発現増加やテロメアの短縮は腎機能が比較的保たれている老齢者でも認められる。



その他の参考文献
Zhou et al., 2008 # 438


  • 最終更新:2013-02-13 15:18:12

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