2.10 癌

<癌>

発症機序が老化と密接に関係しており、全員が発症するわけではないが加齢に伴いそのリスクが上昇する、いわゆる老年病の中で、癌はヒトの最大の死因となっている。ヒトでは癌の大部分は上皮組織から生じるものである。非上皮性の癌には造血組織から発生するものと、繊維芽細胞、骨芽細胞、筋細胞、血管内皮前駆細胞などから生じる肉腫などがある。癌の進行は段階的で、上皮性の細胞がある程度までだけ異常に増殖し、基底膜を破らない段階で成長を止め、腺腫、ポリープ、いぼなどとして止まる場合もある。基底膜を破って成長するようなものは悪性腫瘍である。上皮細胞の増殖は通常足場依存性であるが、多くの場合癌の進行に伴い近傍の間葉由来の間質細胞の形質の獲得が起こるなどして、足場依存性が失われる。

DNAに蓄積する変異やエピジェネティック制御の変化は癌の発生の主要な要因である。ヘテロ接合性の消失(LOH)による劣性変異の表出も多く起こる。これは一方の染色での遺伝子が変異を受けたりエピジェネティックな抑制を受けたり、あるいはDNA合成時に該当部分の複製が劣性変異を持つ染色体を鋳型としてしまう場合に起こる。

ヒトと異なり、マウスやラットで生じる癌は主に間葉性腫瘍である。またヒトの癌はほとんどの場合染色体異常を伴うが、マウスやラットの癌ではあまり見られない。この違いには、ヒトとマウスの間で細胞老化を制御するメカニズムが一部異なっている事が関係している。


  • 最終更新:2012-04-01 13:11:13

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