2.5 心臓

<心臓の加齢変化>

心疾患が無い限り心臓の重量には加齢による大きな変化は認められない。左心室の重量は加齢に伴いわずかに増加する。左室容積、右室容積は加齢と共に低下する傾向があるが、心房容積は加齢とともに著しく増加し、弁輪径も加齢と共に増加する。心筋細胞の数は減少し、大きさは増える。心筋の間質には繊維化が起こると共に、リポフスチンやアミロイドなどが沈着する。弁膜(特に大動脈弁)および弁輪部(特に僧房弁輪)は石灰化し、程度が著しいと弁狭窄、閉鎖不全などの弁膜症を起こす。心血管組織の石灰化の程度は加齢に伴う骨量の低下と相関する。心筋の収縮機能自体は変化しない。安静時の心拍出量も変化しない。ただし心拍数は減少するので、一回拍出量は増加する。運動負荷時の心機能は加齢と共に低下する。このような変化は、冠動脈の血液供給の低下、カテコールアミンに対する反応性の低下などによると考えられる。心筋壁の肥厚、間質の繊維化に伴い、心筋拡張能は低下する。このため左室拡張末期圧は上昇し、左房、右房の拡張、さらに不整脈の原因となっている。加齢と共に刺激伝導系は繊維化し、伝導系を構成する細胞数は減少する。これらの変化は洞結節、房室結節、右脚、左脚に著しい。

マウスの心臓では生後でも心筋の多倍体化や多核化、分裂などが起こっている。若齢時には、一日当たり約0.015%の核がDNA複製を経るが、老齢個体ではその頻度が半減する(Senyo et al., 2013 #559)。


その他の参考文献
新老年学 第三版、大内尉義、秋山弘子、折茂肇/編集、2010、東京大学出版会


  • 最終更新:2013-02-13 10:19:52

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