3.4 mtDNAの損傷

<mtDNAの損傷と老化>

核中でクロマチンの中に折り畳まれているゲノムDNAに比べ、ROSの主要な発生源であるミトコンドリアの中でより露出された状態で存在するmtDNAは酸化傷害を受けやすい。またDNA修復系の機能も核内に比べ低く、変異が蓄積しやすい。mtDNAのポリメラーゼPolGの校正機能が損なわれる変異を持つマウスでは、mtDNAの点変異が約2500倍増加し、老化が促進される。このマウスでは酸化ストレスマーカーや細胞の増殖には異常は認められていないが、特に細胞のターンオーバーの速い組織でアポトーシスマーカーが増加している事が認められている(Kujoth et al., 2005)。変異をヘテロに持つマウスではmtDNAの点変異の蓄積は約500倍増加するが、このマウスは正常に生育する(Vermulst et al., 2007 #303)。このマウスのもつmtDNAの点変異は加齢に伴い蓄積していく点変異よりも遥かに多い。またPolGの変異をホモに持つマウスでは、その変異をヘテロにもつマウスと異なり加齢に伴いmtDNAに起こっていく欠失も促進されている。mtDNAの複製に関わるヘリカーゼであるTwinkleに変異を持つマウスではmtDNA中の欠失が促進され、生後およそ一年後からミトコンドリア病を発症するが、早老は起こらない(Tyynismaa et al., 2005)。これらの結果はmtDNAの傷害の蓄積が老化の速さを規定していない事を示唆している(Sanz & Stefanatos, 2008 #39)。


  • 最終更新:2013-02-13 10:45:54

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