3.7 AGEs

<糖化最終生成物 : AGEs>

糖のアルデヒド基やケトン基はタンパク質のアミノ基やリン脂質や核酸に対し、非酵素的に結合する事ができる。アルデヒド基を持つ糖とタンパク質の反応では、まずタンパク質のアミノ基と糖のアルデヒド基との間で反応が起こってアルジミン化合物が可逆的に形成される。アルジミン化合物のような、窒素原子に炭化水素基が結合したイミンは総称してシッフ塩基と呼ばれる。こうして形成されたシッフ塩基の一部はアマドリ転移と呼ばれる反応を起こし、さらにいくつもの反応を経て複雑で多様な生成物を生じる。この一連の反応はメイラード反応と呼ばれ、このようにして不可逆的に生じた糖化産物はAGEs(Advanced glycation end-products)と呼ばれる。AGEsの形成に寄与する主な糖としては、グルコース、グリセルアルデヒド、グリオキサール(炭素数2)、メチルグリオキサール(MG : 炭素数3)、3-デオキシグリオキサール(3-DG : 炭素数6)などが挙げられる。MGや3-DGは特に反応性が高く、グルコースの一万倍以上反応しやすい。グリオキサールは主にグルコースが酸化されて生じる。MGは主に解糖系(ピルビン酸などから)、あるいはグルコースとタンパク質のアマドリ化合物、アセトール、アミノアセトン(グリシンやスレオニンから生じる代謝中間体)などから生じる。3-DGはアマドリ化合物から生じる。

血中のAGEsの取り込みにはクッパー細胞や内皮細胞で発現するRAGE(Receptor for AGE)やスカベンジャーレセプターが関わっている事が示唆されている。AGEsのRAGEへの結合はNF-kBの活性化などを引き起こす。糖尿病や加齢に際してはAGEsだけでなくRAGEの発現も上昇している。RAGEはグロブリンファミリーに属する膜貫通タンパク質であるが、他に分泌型のsRAGE、N末端を欠くNtRAGEもある。RAGEは免疫細胞にも発現しており、その免疫機能の発揮にも重要な役割を持つ事が示されている。RAGEの抑制はほとんどの場合保護的な作用をもたらすが、免疫応答が損なわれるという報告もある。

アミノグアニジンやカルノシン、ピリドキサミンはAGEsの生成を抑制する物質として知られている。オキソアルデヒドの無毒化もAGEsの生成を抑制する。グリオキサールやMGはGSH依存的にGLX1、2の協調により効率よく解毒される。GLX1の活性は加齢に伴い減少する事が報告されている。アルドースリダクターゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、2-オキソアルデヒドデヒドロゲナーゼもAGEsの生成を抑制する。

AGEsは少なくともROSの産生を通じて膵β細胞の機能を阻害し、インスリン分泌を損なわせる(Coughlan et al., 2011 #422)。



その他の参考文献
Grillo & Colombatto, 2007 #60
Yan et al., 2010 #61



  • 最終更新:2013-02-13 10:49:26

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