DNA脱メチル化酵素

DNAを脱メチル化する機構は複数存在している。TDGを介した系では、まず5mCがTetによって酸化されて5hmCや5fC、5caCに変換されるか、あるいはAIDやAPOBECによって脱アミノ化されてチミンに変換された後、TDGによるBERによって元々5mCであった塩基が除かれ、修飾を受けていないCとして修復される。Dnmt1自体はHemi-5hmCに対して特別強い活性を示さないが、UHRF1は5hmCに対しても結合できる事が報告されているので、5hmCが残存する場合でもPassiveな脱メチル化にはつながらない事が考えられる。

In vitroで二本鎖中のCpG配列を基質とした場合、TDGは5fCや5caCに対して素早く働き、5hmCに対する反応はそれらよりも遥かに遅かった。5fCや5caCのゲノム中の含量は5hmCに比べても少なく、安定的には存在していない可能性が考えられる。TDGによる脱メチル化は一回に一方の鎖にしか起こらない。両方の鎖で連続的にメチル化を外して行くような協調が存在するかは不明である。TDGはAIDやGADD45aと相互作用するが、このときのGADD45aの役割は明らかにされていない。

MBD4にも5mCに対するグリコシラーゼ活性が見つかっているが、TDGを含むいずれのグリコシラーゼについてもT-Gミスマッチに対する活性の方が30〜40倍強い。MBD4 KOマウスは生存可能で繁殖も可能であり、ゲノムワイドな低メチル化も起こらない。一方で、副甲状腺ホルモン(PTH)の刺激を通じてMBD4がリン酸化されると、MBD4の5mCに対するグリコシラーゼ活性が高まり、CYP27B1の脱メチル化が行われる事も報告されている。

Tet1〜3のいずれもが5mCを5hmCに、さらに5fCや5caCに変換する事ができる。ESCではTET1が強く発現している。5hmCは5mCの〜15%程度存在している。5mCの含量が組織間で基本的に大差ないのに対して、5hmCの含量は組織によって大きく異なり、神経系で特に多い。ESCにおいて、5hmCはgene body、特にエキソン、及びプロモーター領域に多く見られる。TET1はCGIにも結合するが、5hmCはCGIに多くは見られない。一方でTET1を欠くとメチル化を受けるCGIが存在する。分化多能性に関連する転写因子の結合領域にも5hmCのEnrichmentが認められる。TET1を欠くと一部の遺伝子は発現が低下するが、一方で発現が増加する遺伝子も多くある。TET1非存在下で発現が増加する遺伝子の多くはPRC2の標的遺伝子である。TET1はPRC2と相互作用し、結合領域も大部分共通している。TET1とSin3a複合体との相互作用も報告されている。これらの相互作用がTET1の遺伝子抑制のメカニズムに関係している事が考えられる。

ヒトの乳癌細胞株において、エストロゲン依存的に周期的(100分)にpS2プロモーターの脱メチル化が起こる事が報告されている。この時脱メチル化はStrand specificに起こる。ここではDnmt3a/bが脱アミノ化反応を触媒しており、その後TDGが作用している事が示されている。ただし、Dnmt3による脱アミノ化反応はIn vitroで調べた解析においては非常に低いレベルでしか起こらない事も報告されている。ホルモンとDNAの脱メチル化制御に関しては、他にラット肝細胞癌株でグルココルチコイド依存的な脱メチル化が行われているという報告がある(Kress et al., 2006)。

AIDやAPOBECはdsDNAよりもssDNAやRNAにより好んで結合する。AIDは免疫グロブリン遺伝子の超変異に、APOBEC3はレトロウイルスに対する防御反応に機能している。胎生13.5日目のAID KOマウスの PGCのゲノムワイドなメチル化はWTよりも高くなってはいるが、それでもまだ低く、AID非依存的なDNA脱メチル化機構が働いていると考えられる。

カエルにおいてGADD45aが、NERに関連するXpgに依存して脱メチル化を行うという報告がされているが、合致しない研究結果も報告されていて、コンセンサスが得られていない。rDNAがGADD45a依存的にNERを通じて脱メチル化されるという報告もある。



  • 最終更新:2013-02-13 13:48:02

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