Klotho

Klothoは一回膜貫通型の、β-グルクロニダーゼ活性を有するタンパク質で、主に腎臓で、他に脳脈絡膜、副甲状腺で発現している。膜中のα/β-secretaseにより切断されると分泌型Klothoが産生される。慢性腎不全患者の腎臓ではKlothoの発現が低下している場合がある。Klotho KOマウスでは生後3~4週間頃から動脈硬化、骨粗鬆症、異所性石灰化、肺気腫、皮膚、筋の萎縮などの早老が起こり、寿命は約9週間である。これらの病態は末期腎不全患者のそれと類似性がある。Klotho KOマウスや慢性腎不全患者の動脈の石灰化は弾性層板に特徴的に認められる。Klotho強制発現マウスでは平均寿命の延長が報告されている。

KlothoはFGFR1C、FGFR3C、FGFR4と共に、FGF23のレセプターとして機能する。FGF23 KOマウスはKlotho KOマウスと類似した表現型を示す。FGF19/21/23は他のFGFメンバーとは異なりホルモンとしての作用を示し、FGF23は腎臓に作用してリンの排出を促し、活性型ビタミンDの合成を抑制する。副甲状腺に対してはPTHの分泌を抑制させる。活性型ビタミンDは腸でカルシウムやリンの吸収を促し、PTHは血中カルシウム濃度を増加させる他腎臓に作用してリンの吸収を抑制させる。PTHは活性型ビタミンDの合成を促進させるが、正味にはリンの取り込みを抑制する。従ってFGF23はビタミンDやPTHに対する影響を通じてもリンを減少させている。FGF23により負に制御される活性型ビタミンDとPTHはFGF23の発現を活性化させる。すなわちここではネガティブフィードバックループが形成されている。FGF23の不活性化が阻害された変異をもつマウスでは常染色体優勢低リン酸血症くる病(ADHR)が認められ、FGF23 KOマウスでは高リン血症が認められる。KlothoやFGF23の欠損による早老は、カルシウムやビタミンDの制御異常ではなく、リンの制御異常に依っていると考えられる。

分泌型Klothoは腎臓で発現しているカルシウムチャネルTRPV5やカリウムチャネルROMK1の細胞膜上の局在を安定化させ、さらにリンの取り込みに関わるNpt2aを不活性化させる。広範な細胞種でリンの取り込みを制御しているPit1/2も分泌型Klothoにより阻害される。他にKlothoはIGF-1、Wnt、TGFβ1によるシグナリングを抑制する。KlothoはWntリガンドに直接結合しレセプターへの結合を阻害する。他にTGFβR2にも結合し、それに対するTGFβ1の結合を阻害する。

Klotho KOマウスや腎不全患者で発現の増加しているアルドステロンは動脈平滑筋細胞に対して、リンのトランスポーターで石灰化への寄与が知られるPIT1の発現を増加させる。アルドステロンはosteoblastic reprogramingを促進させるTNFαの発現を増加させる。ミネラルコルチコイドアンタゴニストであるspironolactoneの投与はKlotho変異マウスの石灰化を抑制させ、寿命をやや延長させるが、この時血中のビタミンD、FGF23、カルシウム、リンの濃度には大きな変化は起こらない(Voelkl et al., 2013 #555)。なおアルドステロンは心臓の繊維化も促進させる事が知られている。

βKlothoとγKlothoはKlothoと配列の類似した一回膜貫通タンパクで、前者は広範な組織で、後者は眼で発現している。βKlothoはFGFR1CやFGFR4と共にFGF19/21との結合に重要な役割を果たす。FGF19は摂食に応答して腸から分泌され、肝臓でCyp7a1の発現を低下させて胆汁酸の合成を抑制させる。胆汁酸はFGF19の発現を活性化させるため、ネガティブフィードバック作用が働いている。FGF21は絶食に応じて肝臓から産生されて適応反応を調節する。FGF21は白色脂肪細胞でも産生されて、これはオートクリン/パラクリン的な作用を示す。FGF21強制発現マウスはtorporを起こす。



その他の参考文献
Kuro-o, 2011 #371




  • 最終更新:2013-02-13 13:55:37

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