TGF-β

TGFβファミリーは大きくTGFβ-Activin-NodalサブファミリーとBMPサブファミリーに分けられ、ヒトでは計30のメンバーが存在している。これらのうちTGFβとそのレセプターはほとんどの細胞種で発現が認められるが、TGFβの分泌は内皮細胞や繊維芽細胞、血小板、B細胞、T細胞、樹状細胞、マクロファージでは特に顕著である。TGFβは主にはパラクリン作用を示す。高脂血症はAP1を、hypoxiaはHIF1を介してTGFβ mRNAの発現を増加させる。

TGF-βはまずLAP(latency associated protein)と呼ばれるタンパク質として合成され、その後切断を受けてTGF-β dimerが生じる。TGF-β dimerはLAPおよびLTBPs(latent TGF-β binding proteins)と結合し、そこから解離したTGF-β dimerがレセプターに結合する。

TGFβの作用は主にはlatent TGFβの活性化の調節により制御されていると考えられ、ROSやMMP2、9の作用、およびインテグリンαvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8とLAPとの相互作用はlatent TGFβを活性化させる。Genotoxic stressやIRによるDNA傷害もTGFβシグナリングを活性化させる事ができる。

レセプターはTGF-βと強く結合するtype II TGFβレセプターTGFBR2(TβRII)と、それによりTGF-βの結合に際してリン酸化を受けるtype I TGFβレセプター TGFBR1(TβRI/ALK5)レセプターから構成される。Type II TGFβレセプターによるtype I TGFβレセプターのリン酸化は、type I TGFβレセプターと、それと結合し、キナーゼ活性を抑制しているFKBP12との相互作用を影響して、type I TGFβレセプターを活性化させる。

Activin、Nodal、BMPなどについても同様なシグナル伝達機構が存在する。これらののtype IIレセプターにはACVR2A、B、加えてBMPについてはBMPR2がある。ActivinとNodalのtype IレセプターにはACVR1(ALK2)、ACVR1B(ALK4)、ACVR1C(ALK7)、BMPのtype I レセプターにはBMPR1A(ALK3)、BMPR1B(ALK6)がある。

これらのレセプターはいずれもSer/Thrキナーゼで、膜タンパクのSer/Thrキナーゼは他には知られていない。

リン酸化されたtype I レセプターは、R-Smad(Smad1、2、3、5、8)をリン酸化し、Co-Smad(Smad4)とのヘテロダイマーの形成を促進させる。二つのR-SMADとSMAD4との複合体が、更に他の転写因子などと相互作用し、転写を活性化させたり抑制したりする。TGFβ、Activin、Nodalは主にSmad2、3をリン酸化させ、BMPはSMAD1、5、8をリン酸化させる。R-SmadはDroshaと結合し、Smad4非依存的にmiRNAのプロセシングにも関与できる。TGFβによる転写が調節される遺伝子セットは細胞種により異なり、いずれにも共通するものは少ないが、そのようなものの中にはTGFβシグナリングにネガティブフィードバックをかけるSmad7やSkilが含まれる。Smad7はSmurf1によるTβRIの分解の誘導を促進する一方で、TβRI下流で、TRAF6と協調してTAK1を活性化し、p38、JNK、IKKを活性化させもする。Smadを介さないシグナル経路も存在し、TGF-βレセプターを通じたShcAを介したRasの活性化、TRAF6-TAK1を介したp38 MAPKの活性化、PI3Kの活性化などが知られている。

転写を調節しているSmadは、転写メディエーター複合体に含まれるCDK8や転写伸長複合体ニ含まれるCDK9によるリン酸化を受け、GSK3によるリン酸化修飾が促進され、それによりユビキチン化及び分解が促進される。MAPKからの修飾による機能の抑制も報告されている。



その他の参考文献
Zhang, 2009 #474
Ikushima & Miyazono, 2012 #475
Arjaans et al., 2012 #570
Massague, 2012 #571


  • 最終更新:2013-02-13 14:05:45

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